広島・山口でこだわりの注文住宅の設計を行う「T.N.A」の事務所コラムページです。

事務所コラム

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ハコモノから建築を考える

「PLACE miyoshi」「PLACE deseert」が先週の土曜日にグランドオープンしました。ケーキ屋さんを軸にした複合型商業施設です。まあ一言でいえば大変でした、、、。(笑)

 

始まりは2、3年前からで、最初は備北地域の中で民間事業として何をすべきか、施主となる長岡商事株式会社さんは古くから備北地域で事業をされている老舗企業です。そんな会社がこの場所で何をすべきかから始まりました。何度も用途、プランが大きく変わる中で、ケーキ屋さんを軸に、事業を成り立たせながらフリースペースを使っていろんな人が自由に色々な時間を使っていくような場所にしようとなりました。地域に対する活動と言いながらも、実際民間事業は収支が合わないと破綻します。事業として成立させながら、三次市、備北地域に対して新たな場所をつくる事で地域貢献につなげていこうと考えました。

 

それに対して建築はどうあるべきか考えるのが設計者の仕事です。コストを調整しやすいように建物は施工性に配慮し、「箱型」を採用します。ハコの中にいくつかの用途が配置されますが、それらに中庭を設ける事で、用途分けされながらお互いがつながります。時間が経ち用途が変わろうともこの中庭だけは変わらない空間です。そこに時間の重みが生まれます。商売するためのハコはいわゆる「ハコモノ」と呼ばれますが、不変の場所に刻まれた時間の重みがただの「ハコモノ」から脱します。いわゆる「お洒落な建物」ですが、それは表面的な着飾りでこの建築の本質は場所に在り、そこに流れる時間です。外と中が曖昧な中庭や外にもたくさんの木々が植えられており、中庭に差し込む光、風が思わずずっといたくなるような居心地の良さがあります。これらは僕が住宅設計をする際に心がけているものと同じです。安藤忠雄さんが住宅は建築の原点と言われていますが、住宅の空間は建築にも拡張していくものなのかなあと、中庭空間に立って思いました。

 

住宅と違って建築はたくさんの人が利用します。ゆえにそこに訪れた時のリアクションがわかりやすいものです。オープンの時、たくさんの方々が笑ったり、はしゃいだり、楽しそうにしている様を見て、自分のつくりたかった場所がつくれたような気がしました。建築とは何か、建築家とは何か、20歳の時、安藤忠雄さんの本を見ながら夢想していた自分を思い出しました。本当に大変なプロジェクトでしたが、色々と勉強になりました。色々思いついたことをそのまま書いてしまいました。明日でT.N.Aは設立10周年を迎えます。このプロジェクトは何かの節目なのかもしれません。次の建築に向けてより一層頑張っていきたいと思います。

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